研究会のお知らせ

2010年4月24日(土)に「調査という表現」をテーマとした研究会を開催することとなりました。どなたでもご参加になれます。

会場など詳細は未定です。決まり次第ウェブサイトやメールマガジンにてご案内いたします。

テーマ:「調査という表現−質的調査を伝える戦略」(仮)
報告:小倉康嗣、松尾浩一郎
司会:大島千帆

 趣旨:

ケン・プラマーは質的調査論の名著 “Documents of Life” を2001年に改訂するにあたり、‘Writing Life Stories’ と題した章を付け加えました。彼はこう主張します。「書くこと」は語られない秘密になっているが、読み手とのコミュニケーションはむしろ調査研究の核心なのだ、と。

私たちもこの意見に同意します。質的調査への関心が広く共有されるようになった現在、統計などでは描き得ない豊かなリアリティを捉えるための調査方法論が、様々な角度から議論され工夫されるようになりました。しかし、調査者がフィールドで感得できたリアリティは、はたして実際の報告や論文の読み手にはうまく伝わっているでしょうか。

私たちは「リアリティの表現」という面で、今日の質的調査は大きな弱点を抱えているように思います。

フィールドでの語りを正確に再現しようとするあまり逆に無味乾燥な記述になってしまった例や、発表時の字数制限に屈して質的調査の命であるはずの「質」がスポイルされてしまった例などに接すると、「質的調査を伝える戦略」の不在を痛感させられます。

私たちは数年来「表現」の問題を意識しながら調査をすすめ、研究をまとめることに取り組んできました。報告者のひとりである小倉は、その成果として『高齢化社会と日本人の生き方』(慶應義塾大学出版会 2006 年)を出版しました。もうひとりの報告者である松尾は、社会学者の視点からタイポグラフィック・デザインや組版を研究し、書籍や学術誌の制作に関わってきました。二人のこうした試行錯誤の経験も活かし、所期のテーマについて議論していきたいと思います。

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