「ビデオカメラは調査の眼」開催

来る12月18日に研究会を開催します。

テーマ : ビデオカメラは調査の目―その実践経験から

話題提供 : 岩舘豊さん(一橋大学大学院博士課程)

日時 : 2011年12月18日(日)14:00~18:00

場所 : 早稲田大学早稲田キャンパス26号館502教室
(http://www.waseda.jp/jp/campus/waseda.html)

趣旨 :
調査とは「あるく・みる・きく」ことだと表現した人に宮本常一がいます。この宮本の捉え方はフィールドワーカーたちに広く受け入れられてきましたし、統計的な質問紙調査であってもかなり当てはまるといえるでしょう。

ほとんどの調査者は、調査過程のなかのどこかの段階で、対象となる社会的世界をあるき、みることを通じて、問題関心や理解を深めているはずです。調査方法論や研究の流儀に違いはあれども、自分の五感で体験したことは、多かれ少なかれ調査の根っこになっているように思います。

しかし現今の社会調査の多くは、こうした五感での体験をあまり重視していないように思われます。いわゆる質的調査も「きく」ことで得た情報を文字化したデータに焦点が合わせられることが通例です。統計的調査の場合は、調査者が見聞きし感じとったものを直接反映させる余地はわずかです。

調査者にとって重要な経験である「みる」ことを、もっと活かすことはできないのでしょうか。もっと活かせるように工夫してみても良いのではないでしょうか。

今ではみなさんのポケットのなかに、携帯電話という名のカメラ/ビデオカメラが入っている時代です。家庭用のコンピュータでも映像を手軽に扱えるようにもなりました。社会調査に写真やビデオ映像をといったビジュアルな要素を取り入れてみることを、現実的な手法のひとつとして検討してみる時が、すでに到来しているように考えます。

今回ゲストとしてお招きする岩舘豊さんは、都市部若年非正規労働者の労働組合実践を対象とした調査研究に取り組まれています。組合に集い活動する彼ら彼女らを、ビデオカメラを手に追い続けておられます。

岩舘さんの調査のひとつの特徴に、ビジュアルリサーチという新しい方法の追求じたいを目的としているのではなく、矛盾や不条理さを内包した社会を生き抜こうとする個々人の実践とその経験を調査するための効果的な一手法として、ビデオ撮影が取り入れられていることがあります。新奇な際物ではない本物のビジュアルリサーチとしてお手本になるものです。

12月18日の集まりでは、岩舘さんが撮影し編集したビデオ作品を鑑賞しながら、ビデオを使った社会調査の実際について、広く議論したいと考えております。ビジュアルリサーチをしてみたい方も、ビジュアル利用に懐疑的な方も、ぜひお越しください。「百聞は一見に如かず」です。

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