2012年1月 のアーカイブ

「ビデオカメラは調査の眼」印象記(3)

2012年1月31日 火曜日

(前回の続き)

・「方法」としてのビデオカメラ
それから最後に、そうした調査の経験を踏まえて、「方法」としてのビデオカメラについてお話していただきました。

まず、ビデオカメラを用いて調査を行うことの困難について提示されました。

ビデオカメラを用いた調査を一人で行う場合、重い機材を担いでフィールドを移動し、撮影を行いながらインタビューも行うということの難しさがあります。

またその中で、カメラを回すタイミングの問題や、いざカメラを回し始めると「カメラを意識してしまって話しづらい」といわれてしなうなどの問題を伴います。
 
それから、ビデオカメラを用いた調査を行うことの有意性について提示されました。

ビデオカメラを用いた調査では、インタビューの記録として、話す表情やしぐさなどを記録できることで、語り手が語った内容を解釈・理解するために参照する情報量が増えることが考えられます。

また、インタビュー記録だけではなく、活動に対する参与観察記録として、ある空間内で連続的に生起している複数の出来事、音と身体行為、口語行為を記録できることが考えられます。

以上、岩舘さんより、これまで行われてきた調査の経験に基づきながら、ビデオカメラを用いた調査を行うことについて、話題提供をしていただきました。

「ビデオカメラは調査の眼」印象記(2)

2012年1月26日 木曜日

(前回の続き)

・「Cユニオン」への調査のプロセス
その後、調査対象である「Cユニオン」についてと、「Cユニオン」に対して調査を行ったプロセスについて、お話ししていただきました。

「Cユニオン」は、2008年に、働いていた企業から事業所の移転を理由として、それまで正規社員への登用が示唆されていたにもかかわらず、一方的に解雇されそうになった若年非正規労働者によって結成された労働組合です。

これまで、事業所移転の計画撤回、雇用の継続、正規社員への登用、未払いの割増残業代の支払などを要求する団体交渉を行っています。

岩舘さんが、この「Cユニオン」に対して調査を始めたのは、大学院の授業がきっかけでした。

市民活動団体についてビデオカメラを用いたフィールドワークをグループで実施し、10分ほどの映像作品を制作するという授業の中で、「偶然」この「Cユニオン」に対して調査を行うことになったといいます。

その授業の中で、岩舘さんは、グループのメンバーとともに、「Cユニオン」に対して調査を行い、映像作品『いうこときくようなやつらじゃないぞ』を制作されました。

そして授業終了後も、現在まで独自に調査を進められており、その中で、『いうこときくようなやつらじゃないぞ2』、『Cユニオン in メーデー2010』を制作されました。

(次回に続く)

「ビデオカメラは調査の眼」印象記(1)

2012年1月21日 土曜日

2011年12月18日に開催されました研究会「ビデオカメラは調査の眼―その実践経験から」の様子をお伝えいたします。まずは、岩舘豊さんの話題提供について簡単に記しておきたいと思います。

岩舘さんの話題提供は、「「方法」としてのビデオカメラ―Cユニオン調査の経験から」と題したものでした。

岩舘さんは、2008年に働いていた企業から解雇されそうになった若年非正規労働者によって結成された労働組合である「Cユニオン」に対して、ビデオカメラを用いた調査・研究に取り組まれています。

話題提供では、その映像作品の上映に始まり、「Cユニオン」への調査のプロセスや、「方法」としてのビデオカメラについて、お話していただきました。

・映像作品の上映
最初に、そうした調査で得られた資料をもとに制作された3本の映像作品『いうこときくようなやつらじゃないぞ』(約10分)、『いうこときくようなやつらじゃないぞ2』(約18分)、『Cユニオン in メーデー2010』(約5分)を上映していただきました。

映像作品では、単に「Cユニオン」の運動の様子を記録したものだけでなく、日々の日常的な活動を記録したもの、メンバーに対して行ったインタビューを記録したものなど、様々な映像が取り入れられており、大変興味深いものでした。

(次回に続く)

「ビデオカメラは調査の眼」盛会のうちに終了

2012年1月17日 火曜日

12月18日に早稲田大学にて開催いたしました研究会「ビデオカメラは調査の眼―その実践経験から」は、おかげさまをもちまして盛会のうちに終了いたしました。

一橋大学大学院の岩舘豊さんによる話題提供はとても興味深く、その後の議論・交流も大変盛り上がりました。とても素晴らしいイベントとなったように思います。

ご出席いただけなかった方にも、ぜひ分かち合っていただきたく思います。そこで、研究会の模様につきまして、これからこのブログを通してご報告していきたいと思います。どうぞご期待ください。