社会調査懇談会・印象記

去る7月31日に開催された社会調査懇談会「その悩みや思いを語る」では、盛りだくさんで深い話題について、多くの人たちと語り合えました。このブログでは次回以降参加者のみなさんのコメントを掲載していきますが(週2回更新予定です)、まずは私が当日の様子を振り返ってみることにします。

はじめに上村勇夫さんから「「現場に役に立つ」研究について考える」と題した話題提供がありました。上村さんは日本社会事業大学大学院に在学中で、知的障害者とともに働く特例子会社の一般従業員の困難感についての調査に取り組まれています。

上村さんは大学院生・調査者という立場であるとともに、同時に調査対象である特例子会社に勤務もされています。研究と現場との関係性や距離感などについて、きわめて敏感にならざるを得ない立場にいるわけです。

話題提供をうけて、参加者みんなで意見交流を行いました。とても多様な顔ぶれでしたが、とくに興味深かったのは調査者の立場にある研究者や学生だけでなく、被調査者の立場にある実務家や現場の人も参加してくれたことでした。

そもそも調査研究が「役に立つ」ものなのかどうかじたい議論の余地はありますが、誰にとって役に立つのか、どのように役に立つべきなのか……。「役に立つ」という問題構成に着目したことであらためて、社会調査が多様な立場の人たちが向き合うコミュニケーションであり、そうであるがゆえに多様な捉え方があるのだ、と再認識しました。

今日では社会調査はさまざまな逆風を受けている面もありますが、必ずそれを求める人がおり、また、それを役に立てることができる可能性があるのだと思います。そうした可能性を形にする工夫が私たちに求められているのだと感じました。

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