「NPOサーベイ」像をたしかなものにしてくれた一周年記念イベント

ささやかな足どりではありますが、みなさまのご支援・ご協力のおかげで、NPOサーベイが満一歳の誕生日を迎えました。最初はなにからなにまで暗中模索の状態でしたが、一年を経て、ようやくこのNPOのアイデンティティといいますか、固有の意義について、ぼくのなかで像が結ばれてきたように思います。

社会調査の制度・しくみが高度化し、窮屈で画一的な調査の道具化(ぼくは「社会調査のマクドナルド化」と言っているのですが…)が進行しているように感じる昨今、調査会社でも、シンクタンクでも、大学の形式的な調査プログラムでもない、むしろそこからこぼれ落ちるものの受け皿(コミュニケーションの場)をつくり、社会調査に関するさまざまな困難や障壁を乗り越えていくためのつながりの場としていくこと。そこから社会調査の面白さと奥深さを再発見していくこと。そのために、「社会調査をするひと」だけではなく「社会調査を受けるひと」「社会調査を学ぶひと」「社会調査で知りたいひと」をつなぎ、それぞれの立場からの経験をもちよって、失敗やためらい、迷いを相談し、検討しあえる場をつくっていくこと。それが、ぼくのなかで少しずつ結ばれてきたNPOサーベイ像です。

7月31日に開催した設立一周年記念イベント「社会調査懇談会――その悩みや思いを語る」も、そんな「場」づくりの一環として企画したものでした。

研究者はもちろん、現場の方、行政マン、実務家、学生、生活者と、当NPOならではの参加者が集い、「現場に役に立つ調査研究とはどういうものか」「そもそも役に立つとはどういうことなのか」「複雑な現場と、テーマや変数を絞らなければならない研究の作法と、私の思いとのあいだの葛藤を、どう解決していけばよいのか」「研究者からヒアリング調査を受けることが多々あるが、必ずといっていいほど自分が言ったことがちゃんと伝わっていないのはなぜか」「当事者ではない人間が当事者の体験をききとることとは、結局どういうことなのか」「目の前のひとに役立つ研究と、論文として成り立つ研究をいかに両立させていくか」「調査につきまとう政治性と調査知見をフィードバックすることの困難性」「調査することの迷惑」等々、それぞれの立場ならではの意見が率直に述べられ、自由闊達な議論がおこなわれました。

参加者の西倉さんも感想を寄せてくださったように、けっして論文化されないけれども、社会調査の根源にかかわってくるような、セルフヘルプ的なコミュニケーションがそこに展開されていたのではないかと思います。なにより、とつとつと正直に語られる参加者のみなさんの表情がよかった!

現実を共同構築していく時代の社会調査ということに思いを馳せるとき、もしかしたらこれは画期的な場になっているのではないか。ささやかなものかもしれないけれど、エキサイティングでチャレンジングな場が生成されているのではいか。そんな実感を抱きました。

その意味で、このイベントは、ぼくのなかで少しずつ結ばれてきていたNPOサーベイ像をたしかなものにしてくれる(そして、今日の社会調査をめぐる課題と可能性を鋭敏に直視させてくれる)、そんな貴重なひとときになりました。

そんな「場」をつくりだしてくださった参加者のみなさんに、厚く厚くお礼申しあげます。

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