前回、「社会調査をするひと」だけでなく、「社会調査を受けるひと」が自らの実践を可視化し、次の世代に伝えることが重要、ということを指摘しました。
この点について、もう少し考えてみたいと思います。
もともと社会調査は、社会福祉の援助技術のひとつとして位置づけられています。私自身も「社会福祉援助技術各論」という名称の授業が社会調査の基礎に相当する授業であった記憶があります。
このように援助技術のひとつにも関わらず、福祉現場はあくまで「社会調査をうけるひと」の役割に徹していたように思います。
しかし、社会福祉の実践を可視化し、次の世代に伝えるためには、2つの転換が必要です。
ひとつは、受け身の「社会調査をうけるひと」はやめることです。もうひとつは、自らが「社会調査をするひと」「社会調査を学ぶひと」になる可能性を否定しないことです。
福祉現場で働く方々は、自分たちの実践活動そのものや、日々の支援記録など実践を可視化するための材料を沢山持っています。
その価値に自分たち自身も気づいて大切にしてほしいのです。「社会調査をするひと」は、「社会調査をうけるひと」からもっともっと厳しい目が向けられてよいと思うのです。
また、自らの実践を高め、次の世代に伝えるためにも社会調査にもっともっと主体的に関わってもらいたいのです。
平成19 年に公布された「社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律」によって社会福祉士の国家試験受験科目に「社会調査の基礎」という新しい科目が加わり、平成21年度から新カリキュラムがスタートしています。
(この時期と同じくしてNPOサーベイの活動がスタートしたことは個人的にもとても嬉しいことです)
私自身も、社会調査をするひとでもあり、学ぶひとでもあります。時には社会調査を受けるひとにもなります。
NPOサーベイは、ゆるやかな場ではありますが、こころざしはあります。NPOサーベイを様々な立場から社会調査に関わる人がつながる場にすること通じて、私を育ててくれた福祉の現場に感謝の意を表したいと思うのです。
(おわり)
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