「社会調査データのアーカイブ化」記録(3)

2012年6月29日 by 事務局

2012年3月18日に開催されました研究会「社会調査データのアーカイブ化」の中で交わされました議論について、そのいくつかをご紹介いたします。全体討論の中で話し合われた内容の要約です。

[原資料とストーリー化のあいだで]
・できるだけ原資料を示すことが大切であるが、プライバシーの問題などもあって難しい。

・調査の原資料とアーカイブの読み手とを仲介するものは重要。原資料についての説明やアーカイブの使い方についての説明はもっとおせっかいにするべき?

・ランダムに見ることができるようにするという方法もあり得る。

・他のアーカイブに見られるストーリー化される語りとは違うものを目指している?

・ストーリー化するプロセスが大事。トランスクリプトそのものをアーカイブに入れることでプロセスの再検討ができる。別のストーリーもあり得るということの提示ができる。

・今は、ヒロシマ・ナガサキからフクシマへといわないと提示しにくいという風潮ができるのが問題。それらのつながりをひもとく必要がある。

「社会調査データのアーカイブ化」記録(2)

2012年6月25日 by 事務局

2012年3月18日に開催されました研究会「社会調査データのアーカイブ化」の中で交わされました議論について、そのいくつかをご紹介いたします。全体討論の中で話し合われた内容の要約です。

[アーカイブ化について]
・どんな調査営為でも残すことアーカイブ化することが大切。

・『原爆体験』の追体験ができるのが画期的である。

・濱谷先生の調査研究の最終報告的なアーカイブではないかと感じた。

・祈念館のデータベースは受動的であるが、ただの受動ではない継承のあり方があり得る。

[アーカイブの読み手をめぐって]
・インタラクティブな広がりも重要。インタラクティブ環境での表現のあり方は社会学の課題。

・読み手の存在をいかにフィードバックできるか?例えばアクセス解析などは?

・誰を対象にしたアーカイブなのか疑問。見たいものにアクセスできるのか。偶然たどり着いた人も重要。

・研究者のためだけに開示するものではない。

「社会調査データのアーカイブ化」記録(1)

2012年6月22日 by 事務局

開催されました研究会「社会調査データのアーカイブ化」の中で交わされました議論について、そのいくつかをご紹介いたします。まずは、全体の討論に先立ちアーカイブ化の作業に携わっている方からいただいたコメントの要約です。

・自分も長崎の調査を行っているので、トランスクリプトの内容を読み込んでしまう。当時の状況・文脈でしか語られないものが聞けて勉強になった。音声データを忠実に文字化するのは難しい。

・研究者にとっては良いかもしれないが、一般の人にとっては、当時の状況や文脈がわかりづらいのでは。一般の方のアクセスを意識するにはどうすればよいのか?

・ゼミの歴史、共同の調査・教育実践に圧倒された。長い間続けてきたことの社会的な意味を感じた。継続した調査の中で、語り手が変化していくところが印象的だった。

・どこまで忠実に再現するかは難しい問題。再現か?読みやすさか?

・自分は聞き取り調査をしないので割り切って作業をできる。資料のデータ化をだれがやるのかは重要な問題であり、関心のある研究者だからよいというわけではない。思い入れ過重ということもある。

「社会調査データのアーカイブ化」印象記(3)

2012年6月18日 by 事務局

(前回の続き)

それから、アーカイブづくりの諸条件・作業工程、モニターへの限定公開、今後の課題について、お話していただきました。

その中では、45年にも及ぶ調査の中で蓄積されてきた膨大な量の調査データを、アーカイブ化するための環境の問題や、アーカイブ化する作業工程の問題について提示されました。

特に、聞き取り調査の資料や自由記述回答の資料をアーカイブ化していくうえでの困難と課題について、お話していただきました。

また、今後モニター限定の公開を進めることで、モニターからの感想・意見・提案をもとに、バージョンアップを重ねていく必要があることが提示されました。

「社会調査データのアーカイブ化」印象記(2)

2012年6月15日 by 事務局

(前回の続き)

その中では、原爆体験調査資料データベース&アーカイブ「原爆と人間」の以下3つの特徴について、お話していただきました。

(1)おおよそ45年かけて収集してきた「原爆体験」に関する調査資料を「人類への遺産」としてアーカイブに残す。
(2)“長崎、そして全国の被爆者から教わった”“教えてもらった”当の、生の証言そのものを、多くの未来に生きる人びとに触れて貰えるように。
(3)「ことば」は、分析し再構成されてはじめて、それにこめられた真実を開示し伝えることができる。

そこでは、これまで多くの社会調査の資料は、担当者の退職等にともない散逸されてきたのに対して、被爆者調査の資料は、「人類史的遺産」ともいえる貴重なものであり、それを整理・保存・公開することの重要性が提示されました。

(次回に続く)