去る12月4日に開催された「調査実習という経験」の様子をお伝えしています。ゲストの話題提供のあとは参加者みんなでの意見交流の時間となりました。今回は質疑応答のなかでも印象に残ったものをいくつかご紹介します。
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Q: 楽しいから厳しい実習も挫折せずにできたとのことだが、楽しいだけでできるほど簡単なものではなかったのではないか。モチベーションはどこにあったのか。
A: バイトやクラブ活動で忙しかったが、充実していたので両立できた。バイトなど働くことならば将来いくらでもできる、今しかできないこと(調査という経験)を優先しようと思うようになった。
Q: 具体的なテーマに絞るのではない「人生を聴く」ようなインタビューはどのような感じだったか。どこまで行けば「その人と出会う」「その人をわかる」ことができるのだろうか。
A: 初めは自分の仮説やテーマを追求するようなインタビューをしていたが、次第に対象者の方は人生を伝えたいと思っていることがわかってきた。人生を教えてくれた。テーマとは関係ないようなことでも、そこにその人の人生が表現されていることもある。
Q: 授業の課題としてインタビューしていたか、それとも一人の人間としてインタビューしていたか。それには変化はあったか。
A: 初めは課題という意識が強かったり、そのようなことを考える余裕はなかった。しかし次第に変化していき、一人の人間として聴き、トランスクリプトを読むようになった。合宿などを契機に実習メンバーでお互い刺激し合うことができるようになった。
Q: 調査実習を終えて、他の人にも聴いてみたいとか、もっと違うことも聴いてみたいと思うことはあるか。調査の経験を発展させていくことはできているか。
A: 忙しいので考える余裕はなかったり、日常生活で直接的に経験を活かすことはないかもしれない。それでも何らかの形で調査経験を活かすことはできているように思う。仕事の世界・実社会と調査は通じる面がある。たとえば人の見方、人との関わり方、意見の伝え方など。とことん人と関わる調査をしたことで自己理解が深まった。自分の生き方を見つめることにつながっている。
他にもいろいろなことが話題にのぼりました。どのような反省があるか、もう一度調査をするならどのようにしたいか、自分自身の発想を忘れないことの重要性、研究目的でない調査の自由や可能性、異なるスタイルの調査では対象者との関わり方も異なること……。4時間近い長い会となりましたが、議論は尽きることはありませんでした。